第五句集『白雁』 2012年4月 角川書店

尾があれば尾も揺れをらむ半仙戯
万の鳥帰り一羽の白雁も
幻をかたちにすれば白魚に
春愁のときどき薬飲む時間
花ミモザ地上の船は錆こぼす
紫陽花に嗚呼と赤子の立ち上がる
十二使徒のあとに加はれ葱坊主
今生の螢は声を持たざりし
登山靴命二つのごと置かれ
ががんぼの打つ戸を開けてやりにけり
鬼の子や昼とは夜を待つ時間
鳥は鳥同士で群るる白夜かな
月夜茸母が目覚めてくれぬなり
月光の届かぬ部屋に寝まるなり
萩芒小袖を振つてみたかりき
葉牡丹として大阪を記憶せり
狼の闇の見えくる書庫の冷え
晴れきつて鴨は水輪の中に居る
風呂吹を風の色ともおもひをり
春の闇鬼は手の鳴るはうに来る
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by owl1023 | 2012-10-07 00:47 | 岩淵喜代子著書


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