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『二冊の鹿火屋 ―― 原石鼎の憧憬』  岩淵喜代子

岩淵喜代子著『二冊の「鹿火屋」……原石鼎の憧憬』 俳人協会賞2014年度評論賞受賞

昭和八年から連載されていた「石鼎窟夜話」には、石鼎を養った出雲神話の根源のようなものが展開されている。そうして、石鼎のためにだけ発刊された「鹿火屋」を読むと、「石鼎窟夜話」から辿りつこうとしていた石鼎の憧憬の世界が垣間見えるのである。
 昭和六年に「頂上や殊に野菊の吹かれ居り」の句を詠んだ地が霊畤であったことは、石鼎の中に無意識に内在していた記紀の世界ををあぶり出した。それが「ありし日の深吉野を偲ぶ」四十七句となるのである。また、昭和十六年の二宮での住所にあった「吾妻」という地名が、さらに神話の国へ誘うのであった。
 そのために鹿火屋会は、一般配布の「鹿火屋」と神話の国へ遊びに行ってしまった石鼎のための雑誌を作らなくてはならなかったのである。


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by owl1023 | 2014-10-29 01:13 | 岩淵喜代子著書