100人20句 巴書林 平成13年8月30日 第一刷
新しさを追うあまりに、俳句の土台を見失うことがないようにしたい。 収録句(岩淵喜代子) 滲み出てくる鶏頭の中の闇 『朝の椅子』 まんさくは鬼の振向いてゆきし花 月山の木の葉かぞへて寝ねんとす 冷まじや一人をかくす寺柱 蝙蝠やうしろの正面おもひだす 『螢袋に灯をともす』 逢ひたくて螢袋に灯をともす 端居して帰りゆ処のなきごとし 空腹や海月はゆらす身のすみずみ 噴水の虹は手に取る近さなる ポンペイの蜥蜴はいつも濡れてゐる 身ほとりに鳴子の縄をめぐらしぬ 空也忌の闇が動いてくるやうな 初刷に発車のベルの火のごとし 朝日にも夕日にも山笑ひけり あつあつの目刺のどこを齧ろうか にはとりは春の嵐の下くぐる 春深し鳥に背筋のあることも 大空の端は使はず揚雲雀 カステラと聖書の厚み春深し 少しづつ暮れてくれきる桃の花
by owl1023
| 2007-07-06 00:49
| 岩淵喜代子著書
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